Python3×地理空間データ ベクタとラスタ
はじめに
地理空間データまたは地図データには,実に様々なファイル形式が存在します.
とはいえ,大きな視点で見れば,どれも2種類のデータに分類できます.
「ベクタデータ(Vector Data)」と「ラスタデータ(Raster Data)」です.
両者の一番わかりやすい違いは,見た目でしょう.
下の図を見てください.
(地理的位置は異なります)
いかがでしょうか?
なんとなく,違いますよね.
両者をもっと拡大してみましょう.
見たところ,ベクタは拡大しても滑らかな見た目を保っているのに対し,ラスタは四角形が見えてカクカクしてます.
つまり,図形的特徴で比較すると,ベクタは点や線などの図形で構成されるイラストであり,ラスタはビットマップ画像なのです.
画像編集をよくされる方ならば,ここらへんの違いは簡単に腑に落ちるのではないでしょうか.
というのも,皆様がお使いのIllustratorはベクタ画像を扱い,Photoshopはラスタ画像を扱うからです.
他の例でいえば,officeツール群(word,excel,ppt)で挿入できる図形(四角形,丸)などはベクタ画像ですし,一方,スマホで撮った写真はビットマップ画像です.
見た目が異なる両者は,内部のデータ構造としても大きく異なります.
ベクタ
ベクタは,X座標とY座標を持った点(point)を基礎として,線(line)や面(polygon)を構築します.
また,点・線・面は,それぞれ固有のデータを持つことができます.
すなわち,個々の図形はある程度独立したデータとして扱えるということです.
ラスタ
ラスタは,位置情報が付属した画像と言えるでしょう.
ピクセル(四角形の画素)が格子状に配置されて全体を構成します.
ベクタと異なり,全体で1つのデータなので,個々の要素(特定のピクセル)の値を変更することは,容易ではありません.(可能ではあります)
ベクタとラスタの比較
次表に,ベクタとラスタの違いを簡単にまとめました.
[ninja_tables id="867″]代表的ファイル形式
以下の内容は,『業務で使う林業QGIS』を大いに引用しています.
ベクタ
[ninja_tables id="861″]ラスタ
[ninja_tables id="862″]おわりに
本日はここまでです.
次回以降は,GDAL/OGR(Geospatial Data abstraction Library)という地理空間データを扱うライブラリを軸に,ベクタやラスタの詳細なデータ構造を見ていきたいです.
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